こんな方におすすめ
- ものごとの選択を悩まずにしたいと考えている方
- いつも悩んでしまい、石橋を叩いで叩き割ってしまう方
- いつも判断がつかずに、モヤモヤとした気持ちで決めてしまう方
- 直感をうまく使いたいと望んでいる方
あなたは、直感を大切にしていますか?
よく言われているところでは、
- 人生をより良いものにするには【直感】を使うこと
- 人生の成功を手に入れるには【直感】を使うことが大切だ
とされていますし、あちこちで目にすることでしょう。
だから、なにか決める時には「直感で決めています!」という方も多いと思います。
しかし、この直感というものに対して「どう捉えているか」によって、望む結果を得られる一方で、その直感の使い方が間違っていると手痛い失敗や合わなくていいトラブルに巻き込まれることさえあるのです。
それは、あなたが、【直感だと信じているその感覚が実は違うもの】であることに、由来しています。
今回は、そんな直感というものに対して過大視、あるいは、神聖視してしまう前に、「直感を正しく理解して、いい形で直感を使って、人生を思うように生きるための直感とはなにか?」を掘り下げていきます。
直感について正しく理解する、いくつかのポイント
そもそも直感とはなんだろうか?
そもそも直感とはなんでしょうか?。
言葉の意味から考えていくと、
直感とは:
推理・考察などによるのでなく、感覚によって物事をとらえること。 参照:Weblio辞書
説明や証明をまたないで、直ちに物事の真相を心で感じ取ること。直観。 参照:Kotobank
という意味を持っています。
直感というと
- なんとなく気になること
- ふと湧き上がってくる考え
- こんな感じというイメージ
- はっきりと言葉にならない
- 根拠はない判断
などとして私たちは直感を使っているのではないでしょうか?
『脳には妙なくせがある』(池谷裕二著 扶桑社新書)
によると
- 直感」は、本人にも理由がわからない確信を指す。
- 「ただなんとなく」としか言いようがない曖昧な感覚。
- 根拠は明確ではないが、その答えの正しさが漠然と確信できるのが直感。
- そして重要なことは、直感は意外と正しいという点です。
- 単なる「ヤマ勘」、「でたらめ」とは決定的に異なる。
直感の特徴は
・判断が速い
・ほぼ正しい
・経験によって鍛えられる
としています。
しかし同時に、「数値」を直感で判断する力や2本の棒の長さを直感で判断すると「目の錯覚」によって間違いが生じることもある「直感がアテにならない」ケースもあることを同書では記しています。
私たちは直感ということに対して、“正しいもの”として捉えています。そして、自分の内側から湧き上がってくる“ふとした考えや思い”を直感として=(イコール)“正しい”としています。そしてその正しいを、“絶対的なものとして信頼”しています。
しかし、『脳には妙なくせがある』に“ほぼ正しい”とあるように、“直感は絶対正しい”ではないわけです。
そして、“その人の経験からの判断だ”ということを考えても、その人が過去に体験したときの記憶が直感として動いていることにもなります。ということはその人がどのような経験をしたかによって、直感の質も変わってくるといえるのではないでしょうか?。
正しい直感の捉え方とは?
「理屈で考え、直感に従わないと、物事がうまくいかなくなる」
アンジェリーナ・ジョリー
このように多くの成功法則の通説の中では、“直感で物事を判断することこそが、正しい”としています。
そして、多くの人は、「思考(頭で)で物事を考えてしまうことはダメなこと」と捉えて、直感という実のところ、曖昧な使いかのわからない感情で判断しようとしてしまいます。
しかし、誰でも一度はやったことがあるトランプの神経衰弱というゲームを考えてみてください。
バラバラに表側が置かれたトランプから、2枚のカードを選んで同じ番後5なら5と合っていれば何度も一人の人が選ぶことができますが、大抵の場合一回めくっただけで同じ番号を選ぶことはかないません。カードを選ぶ時に使うのが直感によるものです。
何度かカードがめくられてどこにどの番号があるか、記憶力のいい人は、順番が回ってきた時にいくつも選び番号を揃えることができます。
つまり、【直感を使ったとしても間違うことがある】ということです。
そして、【直感は経験によって正しい結果が導き出される】ということを示しています。
つまり、直感は自分自身のこれまでの経験からの情報の蓄積によって、瞬時に自分にとっての最適解を判断している無意識的な動きと言えます。
脳科学的な視点では、そうしたことが直感の定義とされているのは、直感も脳の働きの一つです。
直感は、脳がこれまで経験してきたことを学習して引き起こされたもので意識に上った対象が【快/不快】、【するか/しないか】を瞬時に判断する。そのときその根拠となっている過去の記憶がなんなのかは認識することはできないが、その時の脳の、腹内側前頭前野、下前頭回という部位が担っていることはわかっています。
参考:『BRAIN DRIVEN』青砥瑞人 著
私たちのこれまでの体験記憶が、直感にその判断となる情報をもたらしているということは、五感の感覚からどのような情報を受け取ってきたのかということに由来していることを意味します。
直感を五感を超えた第六感と呼ばれることからも、日々の体験の中で五感の感覚からどのような情報を取り入れるのかが、私たちの未来の判断・直感に正誤をもたらすものだといっても過言ではありません。
脳にある情報や五感の感覚からもたらされると考えると、私たちの身体状態が直感の是非を担っているともいえます。
身体になにか痛みや不快感があるとき、そのことに意識が向いて集中力が損なわれ、正しい判断はできません。
何か精神的なストレスがあるとき胃や腸に響いて不調になるものです。みぞおちのあたり(胃や十二指腸、膵臓、胆嚢、胆管がある部分)は太陽神経叢と呼ばれてそこから様々な臓器へと神経が広がっている部分ですが、特に腸から脳に上行する神経繊維が多いことが知られています。この腸と脳との間の情報のやり取りが直感をもたらすとも言われています。
英語のgut feelingは直感、第六感、勘を意味しますが、gutは腸を意味します。
私たちの身体は日々様々な機能が活動していますが、そのほとんどは意識にのぼることなく行われています。些細な出来事に対する反応も、危険な状態から身を避ける行動も、自分が喜びを感じることへの反応も、実のところ身体的なところからの反応の方が先で、意識はその後についてきているわけです。
事実、人がなにかを行動するときほとんどは「行動を起こそう」という意識が働いていますが、意志決定する八秒前には関連する脳の部位が活動しているという実験結果もあります。
直感は、そうした脳の働きに関連した五感や身体的な感覚からの無意識的な情報に対する意識的な判断とも言えるものなのです。
直感の基準、捉え方が間違っていないか?
そもそも直感に対する基準、捉え方が間違っているという場合、直感で判断したと思っていてもそれがいい結果にならないこともあります。
物事の判断をする時、なにかのオファーがある時、「直感を使って判断することが正しい」と多くの人は伝えています。
その時、
- 損得勘定抜きで
- ウキウキ、ワクワクすることかどうか
- 「やりたいか、やりたくないか」
“そうした基準で考えることが直感だ”として伝えている人もいます。しかし、この基準での判断が直感だとすることそのものが直感ではなく、これらは感情による判断だということです。
もちろん感情で決めることは間違いではありませんが、感情はその時の状況にとても左右されてしまったり、「楽しかった」「経験になった」とその時だけの一過性のことで終わってしまうことさえあります。「か〜っ」と一目惚れしてしまったものの、あとから「????ハテ?こんなはずでは」という恋愛と同じです。
そもそも損得勘定抜きで「やりたーい」と思って決めたことであっても、よくよく後で冷静に考えてみると「身銭を切るばかりで得られることは何もなかった」。ということも発生するのです。
つまり、一部のインフルエンサーの方が伝えている
“直感を働かせるとき、「損得勘定抜きで決める」(つまりお金に関するメリットがあるかどうかを判断基準にしない)/「ウキウキ、ワクワクするか否か」/「やりたいか、やりたくないか」で決める”
という感情からの感覚を、「直感だから正しいはずだ」としてしまうと、その判断は後々、いい結果になるどころか失敗の原因にもなりうるということです。
もちろん私たち人間は、「感情がある動物」とされていますし、感情は常にその人が大切である価値観や行動基準が常にともなっています。
好き嫌いのの感情もその人だけの基準や、その人だけの審美眼、優先順位があったうえで、好き嫌いが存在しています。
また過去のトラウマ的な体験から苦しい感情が、何かをきっかけとして発生して、物事への判断や挑戦を妨げてしまうことさえあります。
悩みや不安があるときに、なにか新しい挑戦や決断をしようとしても、その悩みや不安の元となっている問題を解消しない限り、無視して前に進もうとしてもうまくいくことはほとんどありません。
だからこそ、何かに挑戦したり、理想とすることを叶えたいときには、まずは感情を整えることこそが重要ですし、感情を直感であると間違えることで自身の判断の正誤を見直すこともなく突き進んでしまう危うさもあるのです。
-
【感情】が整うと、人生の中で【理想】や【目標】が整う理由
こんな方におすすめ いつも感情に振り回されてしまう方 理想はあるがなにから手をつけたら良いかわからない方 今よりも人生を ...
続きを見る
直感と勘違いしやすい感覚の存在
上記のように、感情での判断を「直感だ」と勘違いしてまうように、私たちは自分から発する思いを【直感】だと感じて、「直感だから正しいことだ」としてしまうことはよくあります。
直感と間違いやすい感覚
それは、アイデアが浮かんだ時の「思いつき」という感覚の時です。
自分の興味のある何かに関連することのアイデアが浮かんで「ふと、やってみよう」と感じることは、誰にでもあるはずです。
例えば、最近猫カフェが流行っているから、猫好きな人を集めてお茶会をしよう」と思いつく。
この時「これは直感的に浮かんだことだから、正しいはずだ。正しいはずだからうまくいくに違いない」と心のどこかで浮かび、そしてイベントをSNSで告知する。しかしSNSで告知したからと言ってそれまで何もしてこなかったあなたのイベントに興味を持つ人はおらず、結果として思いついた「猫好きお茶会」はうまくいかないで終わります。
こうしたように、「思いつき」を直感だ、直感だから正しい」「正しいはずだから上手くいく」として勘違いしてしまう。
私自身も以前は、思いついたイベントを開催してみたものの単に「告知しただけで上手くいく」と勘違いしていました。
「思いつき」は大抵、そのことに対して必要な準備などのプロセスや伝え方を行わずに、ただただ思いついたことのみを重要視します。
本来ならば常日頃から自分の猫の表情をSNSで告知して【猫好きの自分】、【猫の可愛らしさ】 ということを認知させたり、そのイベントをすることに意味や参加することで得られる情緒的な価値などを伝えるという、事前準備が必要なはずです。
思いつきとは:
・急にひらめいたこと、
・ふと心にうかんだこと、
・あらかじめ計画していたことではなくその場の考えたこと、
などの意味の表現。
・いい考え、面白い着想
を意味する言葉です。
何かクリエイティブなものを生み出す時、なにか解決したい時、思いつきは新しい何かを作り出す時の出発点であって、それを形にするには材料を揃えたり、試作したり、問題となることの改善をしたりというプロセスが必要なはずです。つまり、思いつきを形にするにはそれなりの準備やトライアンドエラーが発生するということです。
「ヤマ勘」も同様です。
山勘とは:
・勘で山をかけること。あてずっぽう
・間にたよって、万一の成功を狙うこと。その勘
・山師のように人をごまかす行い
という意味があります。
ヤマ勘は、「テストでヤマを張る」とい“テストに出るであろう問題を予測すること”にも使い、『(ヤマが)当たった、外れた」という結果をもたらしますが、本来は決まった範囲の中からテスト問題が作成されるもので、ヤマ勘だけにたよってしまうところで「思いつき」と同じです。
直感はどのような時に発動されるか?
直感が発動される時はどのようなときでしょうか?
- 目的のない何気ない発動
- 選択を迫られているときの発動
という大きく二つのパターンがあるのではないでしょうか?
①目的のない何気ない発動が起こるとき、
日常の何気ないことに対して【直感】が働くこともあります。その時の直感の元となっているのは、「なんとなく感じる違和感」や「「不快」「これが良さそう」「今の自分が感じる感覚に対しての信頼性」「過去の自分の記憶への信頼」などが元となっています。
- 何か虫の知らせで電車を一本早くしたことで、事故に遭遇しなくて済んだ
- 何気なく靴を磨いた日、重要なクライアントからの打ち合わせ依頼が来た
- 今日、ここのスーパーに行けば夕食にぴったりの材料が揃いそうだ
- 何となく髪の毛のボサボサが気になるから美容院に行ってきたら、親戚の葬式のお知らせが来た
など、
【あらかじめの目的】、【決断しなければならないなにか】が直感の前にあるわけではないのです。
「今現在に直感を働かせた判断、その先に良い結果に結びつく」ということこそが、いい形で発動された直感と言えます。
つまり
- 自分自身の体験による記憶
- 自分自身の五感の感覚
による、わからないけれど言葉にはできない理由から「それをしよう」という判断
つまり自分自身への信頼が、直感を発動させるわけです。
そうした自己信頼が元となっている直感を正しく使うには、日頃から自分自身の感覚(五感)や判断の仕方を観察する必要もあるでしょう。
②選択を迫られているときに直感の発動は、
何かの物事に対して、二つのうちの選択をしなければならない時、それが自分にとって重要でこの先の人生に必要なことだと思うことであれば、
- それによって何が得られるのか
- それによって自分はどうなるのか
- どれだけリスクが発生するのか
- かかるお金はどれだけ必要なのか、出せる金額か
- 時間を費やすに値することか、今がベストのタイミングか
- それらの全てを抜きにしてやりたいことか
- それらを負うことと、やらないことのどちらが重要か
などの思考を働かせることも大切だと言うことです。
そのことが、自分にとって重要でこの先の人生においてのターニングポイントとなると思えるようなことであればあるほど、そうしたことを考えた上で、自分の頭の中で情報を整理した上で、ポンっと判断が降りてくる。つまりそこで直感として無意識の判断が降りてくるのです。
私たちは、新しい状況に対しても過去の体験からの情報を手繰り寄せて、それが自分にとって価値あることか/重要なことか/必要なことかなどを探っています。過去の記憶とすり合わせて判断するには判断材料となる記憶があってのことです。
そして「なにか課題となっていることに対して」直感を働かせるには、その課題となっていることに対しての知識や熟慮をする時間・思考する時間が必要です。
様々な偉大な発見は、そのことに関連する知識を繰り返し習得し思考したのち、煮詰まったり行き詰まりの状態になる。それは脳の中でその情報を整理している状態で、それが脳の中で記憶として定着するとそのことに関してのあらたな側面や視点が見つかり、あらたな創造性が繰り広げられる。そのときにふとした【ひらめき】【直感】が湧いてくるとされています。
つまり新しい状況への選択に対して直感を働かせるには、そのことに対しての情報を学習するプロセスによって脳の中に情報を蓄え、神経同士の結びつきが出来上がってようやくそのことへの価値判断ができるわけです。
直感に対する捉え方・まとめ
- そもそも直感とはなんだろうか?
その人の経験からの判断で、間違うこともある。絶対ではない
経験によって鍛えられる
- 正しい直感の捉え方とは?
脳の働きの一つ
日々の体験からの五感の感覚からどのような情報を取り入れているか
身体感覚=腸が受け取った無意識的な情報に対する意識的な判断
- 直感の基準、捉え方が間違っていないか?
インフルエンサーのいう、「損得勘定抜きで」「ウキウキ、ワクワクすることかどうか」「やりたいか、やりたくないか」
は感情を表す。感情を“直感だから正しいはずだ”とすると見誤る
- 直感と勘違いしやすい感覚の存在
「思いつき」、「ヤマ勘」は直感とは違う直感と混同しやすい。この二つを直感として勘違いすると、うまくいかない
- 直感はどのような時に発動されるか?
目的のない何気ない発動、選択を迫られているときの発動の2パターン【自分自身の体験による記憶】、【自分自身の五感の感覚による】
わからないけれど、言葉にはできない理由から「それをしよう」という判断が起きる。
自分自身への信頼が、直感を発動させるうえでは大切。選択を迫られるときには、思考の働きも重要
ここまでみてきた通り、
【直感】という言葉を過大視しすぎて、本来の直感と違う捉え方をしてしまう
【直感】を重視しすぎるあまり、思考を働かせることに否定的
と本当に望んでいること叶える方法を見誤ることもあるのです。
これは、「直感だ!」と思う前に、直感そのものについて今一度、思い返してみてください。