こんな方におすすめ
- これからの人生、生き方を見直したい方
- いつも同じことで悩んでしまう方
- ご自分の可能性を広げたいと考えている方
今、世界は目まぐるしい変化の時代にあります。
これまで当たり前だったことが瞬時に当たり前でなくなり、仕事や暮らし方のあれこれを、ストップしたり変えなければならない状況が起きることさえあります。仕事や教育、住環境、人間関係と、環境の変化に対応するために、それまで当たり前であったことを超えてそれ以外のモノ、コト、ヒトを考えなければならない状況になったとき、突然の変化を突きつけられたとき、人は一瞬、急なことに戸惑い「どうしよう?」と、右往左往してしまう。
それは人として当たり前の感情です。
そしてしばらくすると、「どうしようか」「何をしたらいいのか」と考え始めます。
さらに、これまでとは違う、他の選択をすることが必須となり、その選択によって、人生の良し悪しが左右されるのは、昔も今も未来も変わりません。
しかし、その選択というものを捉えると、
正しい事は一つではありません。
可能性は一つではありません。
そして、選択をするというのは、ただ選べばいいのではありません。
あなたは、自分が「こうしたい」、「こうしよう」と思うことに対して、それを素直に選ぶことができますか?。人は得てして、自分のことであってもよくわからず、周りの状況や、周りの人の言動で物事を選んでしまうことさえあります。
うっかりすると、選択することに悩んだり、悩むことに疲れて他者に選択を任せてしまったり、望む結果の得られない選択をすることさえあります。
そのとき必要なのは、自分の範疇を超えた別の考え、別の視点で選択をする・選択肢を広げることです。
いい選択をするには、意志の力や意欲だけでできるものではなく、ある意味スキル(技術)がいるのです。
ここで扱う選択は、生活、仕事、家庭や人間関係、それを取り巻く出来事に対して対処する上で、選択肢を広げるにはどのようにしたらいいのか?という事を扱います。
この変化の時代に可能性を広げる、選択肢を広げるスキルを、心理学と人生デザインという観点で考えていきます。
可能性を広げる選択のために必要なこととは
選択肢とは、どのような意味かを知る
周りの状況が変わったり、
何かを新たにしなければならない時、
今までにない考え方
それまでしたことのないやり方
選ばなかった物(者)
を選択する必要があります。
選択という事を理解する上で、その言葉の意味について知っておきましょう。
選択とは:
1.多くのものの中から、よいもの、目的に叶うものなどを選ぶこと
2.「選択科目」の略
3.リレーショナルデータベースにおいて、表の中から特定の条件に合う行を取り出す操作
せんじゃく/せんじゃく(仏教用語):
一定の立場のもとに不要なものを捨て、必要なもの、正しいものを選び取ること
<Weblio辞書より>
肢とは:
・身体のわかれ。手足
・分かれた部分。えだ。支と同じ。
選択肢とは:
・質問に対して、そこから選択して答えるように用意されている二つ以上の答え。
<デジタル大辞林より>
・一定の質問に対する回答の候補として用意された複数の回答の一組で、回答者がそのうちの一つを選ぶようにつくられているもの。
・行動や条件などについて自ら選ぶことができる複数個のケース
<日本語大辞典より>
こうした言葉の意味から捉えると、
選択肢とは
- いくつかの、方法、物、事からより良いモノを選ぶ事
- 最初に何かしらの定義や条件の基準があって選ぶ行為
- 身体の感覚、手足を使い(=行動する)事
- 自分自身が行う意識活動である事
であることが、言葉の意味からも捉えることができます。
選択肢は、物事を考える上でできるだけさまざまな方向で考えて、可能性をいくつも想定して広げる、思考の働きといえます。
選択肢を広げるとは?
私たちが選択肢を広げようと思うとき、その後には「選択する」ということがあり、その選択によって「どうなりたいか」「なにを得たいのか」という目的があるからです。
選択肢を広げるには、その思考の行く先、目的や望む理想そのものに対しても可能性を広げなければ、選択肢は広がりません。
ああなるには、こうする
こうすると、ああなる
というような、
洋服のコーディネートのように、
色を作るCMYの配合のように、
料理の素材と調味料と火加減を決めるように
私たちは選択肢、その先の理想とする未来を、あれやこれやと組み合わせの可能性を頭の中で繰り広げながら思考しています。
つまり、選択肢を広げるには、その行き着く先の【望む理想】があるからで、それが無ければそもそもの話として、なにかを選択することはありません。
選択肢を広げるには、【望む理想】が要ることを理解してください。
その上で、
望んでいる理想を叶えるためには、何をしたらいいか、
望む状態になるには、どうしたらいいのか
方法やプロセスを検討することです。方法やプロセスは、実際に自分自身が何をするのか・行動についてを決めることです。
つまり、選択肢をひろげるということは、
- あなたの望む理想は何かを明確にする
- その理想を叶える、達成したいなにかを得る、には何をしたらいいかの行動、どのような方法があるのかをさぐることで、常識を捨ててアイデアをできるだけ出す。
ことです。
選択肢を広げるために必要なポイント
あなたが、
新しい何かを取り入れなければならない時
今までと違う何かを選択する必要がある時
まず必要なことは、
- 目的をはっきりさせること
- 重要なのは何か?をはっきりさせること
①目的をはっきりさせること
目的をはっきりさせることとは、
あなたの「こうしたい」
あなたの「こうなりたい」
あなたの「このためにする」
という
目指す理想の状態=【目的】をはっきりとさせる事です。
目的がはっきりしないと、手当たり次第に目に付くこと、感情(気分、ノリ、好き嫌い)を優先させてしまいがちになり、理想とする状態を得られることはありません。
②重要なのは何か?をはっきりさせること
その理想の状態=【目的】で重要なことは、何かをはっきりとさせる事です。
その選択をする上で、大切なポイントを決めることです。
その選択をする上で、これだけは嫌だという点を決める事です。
その選択をする上で、これは好ましいという点をはっきりとさせる事です。
重要なのが何かということが、最初からはっきりとしていないかもしれません。
しかし、あなたの意識に上がっていないだけで、なにも無いということはありません。
人が行動を起こす時、大切だと思っている事=価値観が何かしらあって、感情が湧き、行動を起こします。
その価値観を知る目安となるのが、
- 【大切なことは何か】
- 【嫌なことは何か】
- 【好きなことは何か】
を知ることです。
あなたにとって重要なこと・価値観を知ることは、【選択肢を広げること】だけにとどまらず、あなたの行動、考え方、にも及び、さらには人生にも影響することです。人は、自分の中にある価値観を基準にして物事を決め、行動を起こしているからです。
今、はっきりとわからなくても大丈夫です。この後のプロセスではっきりとしてくるはずです。
ですが、このことが大切だと意識をしておいてください。
選択するには、【時間軸】と【快/不快】をはっきりとさせる
あなたが選択するのは、今、何かしらの問題を解決するためでしょうか?。
あなたが選択するのは、未来において、何かを得たいためでしょうか?。
これからしばらくは、何が起こるかわからない混沌とした状態が続くかもしれません。そうした混沌とした時代には先が見通せない、だから【選べない】と思うかもしれません。
確実な何かでないと、失敗するかもしれない、
正解ことをしないと、うまくいかないかもしれない
として、選べない。選べなくなってしまう。
ですが、私たちは、選ばないままその場所に居続けることはできません。
人は、自分の周りの状況や環境から五感の感覚を通して常に何らかの情報を受け取って、それに対しての反応として絶えず選択をしています。
自分の今いる環境は、安全か/危険か
今目の前にいるモノに対して、闘うか/逃げるか
を感じ取りながら、判断し、選択し、行動を起こしています。
目の前に危険な動物がいる | と認識し |
それが危険な存在だ | と判断し |
ゆっくりと気づかれないように、音を立てないように逃げよう | という選択を下す |
という一連の意識の動きは脳によるもので、それは【選択は本能的なもの】だとさえ言えます。
選択に関わる脳の部位は線条体という場所で、その機能は爬虫類、鳥類、哺乳類に至る動物全体でほとんど変わらないとされています。線条体は、五感からの情報が伝達された関連する脳部位からの情報をうけとって、選択に関連する身体関係の脳部位に伝える配電盤のような役割をしています。
そして、線条体と対をなす前頭前皮質は、その行動が、今あるいは将来にどうのような影響を及ぼすのか、冷静に合理的な選択を行うことを担っている。
けれど、前頭前皮質が活性化しすぎると、
- 「賢い選択をしなければならない」とか
- 「今は、危険な状態だから不安だから行動するのをやめよう」とか
- 「将来は、そんなふうにはなるわけがない」
というような今を基準にした思考の働きで、決まりきった選択肢しか選ばないようにもなってしまいます。
だからこそ、選択肢を広げておくのです。
だからこそ、選択肢を広げる方法を考える必要があるのです。
そのとき、あなたが感じている五感の感覚に意識を向けることです。
選択は、あなたの人生をよくするためのものであるはずですが、困難な状況にいるとき、今だけを基準に考えてしまうと、視界が狭くなってしまうため、独りよがりや自分本意な選択になってしまうことさえあります。
今よりも【少し先の未来】のための選択は、現状をよりよく変化させたいための選択です。
それには、先を見通すことであり予測することも必要になります。知識や知恵も必要になります。
さらには、時間軸を意識していくことが必要になってきます。
【少し先の未来】=1ヶ月〜2ヶ月先の時間に対して
【少し遠い未来】=半年〜1年先の時間に対して
【もう少し遠い未来】=2年〜3年先の時間に対して
選択をする必要も出てきます。今すぐには思いつかなくとも選択肢を広げられるようになれば、自ずと発想力や先を見通す力が備わってくるのです。そうした発想力や先を見通す力に必要なのは<想像力>=<イメージすること>です。
この想像力は、他の動物にはない人間だけに備わった能力だと言います。
選択するには、常識を捨ててアイデアをできるだけ出す
選択することに対する【目的】がはっきりとしたら、目的を達成するためのアイデアをできるだけ出してみる事です。
この時、常識や現実的かどうかという視点を外して、思いつく事をすべて出してみる事です。
常識か現実的かという視点で考えると、アイデアは出てきません。意識のどこかでふるいにかけてしまい、本当に必要なアイデアをのぞいてしまう可能性があります。そもそも、今は、そうした常識や慣例を超えたところで問題が起きているので、その視点を超えてアイデアを出す必要があるのです。
とは言え、
そんな・・・、アイデアなんて出せない。
そんな・・・、発想力なんてない。
という人もいるかもしれません。
そうした時、デスクに座ってアイデアを捻り出す必要はありません。
かえって、アイデアを出そう、出そうという時はアイデアが出ないものです。
ですが、コツさえ掴めればアイデア出しは楽しい作業です。
<発想を広げるアイデアの出し方>
ポイントはこの三つです。
- a)アイデアを出す時、あなた自身に質問を投げかける
- b)アイデアを出す時、無意識が優位に働く状態を作る
- c)アイデアを出す時、思いついた事を全て紙に書く
◎この<発想を広げるアイデアの出し方>と<選択肢を広げるワークシート>をメルマガ登録していただいた方に配布しています。よろしければメルマガ登録をどうぞ!。
選択肢を広げるために、情報を収集する
アイデアを出すのと同時に、【理想の状態=目的】に関した情報を集めることが大切です。
情報がなければ、選択肢を広げることもできないばかりか、その良し悪しを判断することもできません。
情報収集する元となるのは、
・インターネット
・本、雑誌、新聞
・人から聞く
・セミナーを受ける
などいくつかがあります。
即効的に情報にアクセスしやすいのは、やはりインターネットでしょう。
理想とする状態=目的 に関連したキーワードを使い、情報にアクセスする。そこから派生して関連以外の別の情報を得ることも可能です。
サイト、SNS、などすぐに情報にアクセスできますが、正誤が入り混じったこの世界では、あなたに必要な正しい情報かどうかを判断して、それを活用できる能力・情報リテラシーを持っていることが大切です。
情報リテラシーとは:
目的に応じて情報を活用する能力のことである。
「リテラシー」とは、もともとは識字能力、読み書きできる能力を指すが、情報リテラシーは印刷された文字だけでなく、見聞やインターネットの情報といった、各種の情報源を適切に利用し、散在する情報の中から必要な情報を収集し、整理し、そして発信するための能力を指す。
情報リテラシーのうち、コンピュータやインターネットを中心としたITを活用する能力は特にコンピュータリテラシーと呼ばれる。新聞や広告などの広範な媒体を活用する場合はメディアリテラシーと呼ばれることもある。
参考:Weblio 情報リテラシー
得たい情報によっては、自分でその場所に行ってみて聞いたり、体験したりすることで肌感覚で情報を収集していくという方法もあります。
情報を集めていく体験を通して、理想とする状態=目的がはっきりしてくることもあります。
なぜなら、情報にアクセスしながら「その情報は、自分に必要な情報か?、否か」を無意識に判断しているからです。そうした積み重ねをしているうちに、最初は曖昧だった理想がはっきりとしてきたり、また別の理想=目的に変化する可能性もあります。
ですが、それでいいのです。
選択肢を広げる、ということは、臨機応変に変わるということが大切だからです。
その時でも、自分らしい選択肢をもつためには、最初に設定した
- 自分は何を叶えたいのか(目的)
- 自分は何が大切なのか、何が重要なのか
- 五感の感覚はなにを感じているか
を忘れないことです。
選択するということの前提にあるのは、
変化を受け入れる
これまでと違う状況を選ぶ
ということですから
今の段階で、ガチガチに固めない方がいいのです。
選ぶためには、要らない選択肢を捨てる
それに関する情報を集めることの次にするのは、その情報を整理して選択を絞り込むことです。
たくさんの選択があっても、あなたの理想に合わなければ「選択肢が全く無い」のと同じです。
理想を実現する選択をするためには、
- 自分の目的に合わない
- 自分の感覚に合わない
情報を捨てなければいけません。
そして、選択をいくつかに絞り込み、自分の中にある重要度や得たいものとすり合わせつつ、最終的にはあなたのこれまでの体験や知恵、そして五感や直感を使い「これだ!」という選択をするのです。
多くのものから一つを選ぼうとすると、私たち人は判断に迷って決断づかれをしてしまう上に、選ぶ事を放棄してしまいます。
これは、「選択肢が多いと、満足度や充足度、幸福度は低くなる」とした、アメリカ・コロンビア大学シーナアイエンガー教授のジャムの実験が有名です。
ジャムの実験とは:アメリカのサンフランシスコのデリカテッセンで行われた、ジャムの種類と試食、購入に関する実験のことで、
その内容とは、
試食コーナーに24種類のジャムを置いた時、買い物客の60%が試食に立ち寄ったが、
試食コーナーに6種類のジャムを置いた時、買い物客の40%しか試食に立ち寄らなかった。
しかしその後、試食に立ち寄った買い物客が実際にジャムを購入したのは、試食コーナーに24種類のジャムがあった時に実際に購入したのはわずか3%の人で、それに対して、試食コーナーに6種類のジャムが置かれていた時に購入した人は、試食した人の30%だった。豊富な品揃えに圧倒されった買い物客たちは、豊富な品揃えを見物に行くことが目的だとして、選択する(購入する)ことをしなかった。
無限に近い選択肢の中から選ばなければならない時、その環境にあるさまざまなのノイズ(子供の声や館内の放送、コーヒーメーカーの音など「)に気を取られずに、選択することは難しい。選択するには、膨大な選択肢の中から選択肢を取捨選択すること。秩序だって選択することが必要だ。
と述べている
参考:『選択の科学』シーナ・アイエンガー著 文藝春秋
けれども、ここで扱うのは、今までのやり方に対して考え方を広げるために、選択肢を広げるにはどうしたらいいか?という事です。
選択疲れを回避して、あなたの望む状態を得られるようにするには、これまでとは違う多くの選択を考える必要があるのです。
多くの選択肢(情報)から自分にとって必要な情報、正しい選択をするには、どうしたらいのか?。
『スタンフォード式 人生デザイン講座』ビル・バネット&ディヴ・エヴァンス著)の中で語らえれている、正しい選択をするためには、
良質な情報に基づく【知性】と、心の中の声である【直感力】、【感情】、【霊感】が欠かせないとしています。
成功と幸せを実現するうえで、【EQ(感情知能指数)】が認知に知能指数であるIQと同じぐらいー場合によってはそれ以上に重要である。
人間が最善の選択をするのに役立っている脳の部位は、原始的な脳の基礎部分であり言葉ではなく感覚で情報伝達を行う、大脳基底核にあるとされている。この大脳基底核は、原始的な脳の基礎部分にあるので、言語中枢とは結びついてはいない。
これはつまり、正しく選択するためには【知能】と【感情】の両方が必要だということです。
さらに付け加えるのなら、
今、あるいは、近い未来に、焦点を当てて選択を絞り込む
ということが必要です。
遠すぎる未来のために
遠くにあった過去にこだわり
という時間軸で考えてしまうと、
本来得たい理想のために選択肢を広げているにもかかわらず、まだ予測もつかない遠い未来や、すでに終わった過去にこだわって、選択をしてしまうと、実現不可能な方法を選択してしまったり、実現までに延々と時間がかかったり、その結果として望む状態は得らないということもあるのです。ここでは、実現する事を目指すために【選択】を考えています。
そのため、「現状に合ったものかどうか?」という視点で、選択肢を3〜5個に順位付けして絞り込んでみましょう。
その選択の一つを試してみる・行動する
選択したその先はどうするか?
その選択した事の行動を起こすことです。
そもそも、選択というのはなにか行動をするために選択します。選択することで終わってしまう人は、その先の行動を起こせません。それは先で述べたような目的がはっきりしていないからです。
もちろん、それを試してみるという感覚を持ちながら行動するのです。
それを本決めにしてしまわなくともいいのです。
往々にして選択した事を唯一の正解のようにしてうと、その手前で選択できなくなります。
選択したことは、今のあなたにとって正解の一つではありますが、状況やその状況の変化によって微調整、微修正が必要な場合があるからです。つまり、検証をしながら行動するのです。
そして、
【試しながら実感を掴む】。
もし試したことが違うとなれば、3〜5個に選んで捨てた中から試すこと。
「不要な選択肢を断ち切り前に進むことで、選択したものを受け入れる」という考え方がありますが、
しかし、これだけ変化の大きい時代に、一つのことにこだわりすぎるとそれが時代や状況にに合わなくなったりしても、その合わなくなった選択をずっとし続けることになるのです。
選択肢を広げる
というのは、
環境の変化やあなたの望み、感情の変化に対して、臨機応変に考え行動するというプロセスです。
そして、行動を起こしながら、その選択の確かさを実感し、その選択による可能性を鮮明に描けるようになってきます。
選択肢に関して日本人が間違えやすいパターン
前述した『スタンフォード式人生デザイン講座』(ビル・バーネット、ディヴ・エヴァンス著)によると、
“キャリアや人生をデザインするには、たくさんのよい選択肢が必要なだけでなく、よい選択をし、自信をもってその選択をまっとうする能力ーその選択を心から受け入れ、自分の選択を信じきる能力ーも必要だ”
とあります。
望む人生を獲得するために必要なことは、他に選択肢があるという事を理解することが肝心です。
しかし、この【選択肢を広げる】ということが、こと日本では不慣れな人が多いと感じるのは私だけでしょうか?。
私自身も、かつては「これだ!」ということにのめり込み、他の選択肢へ意識を向けることがありませんでした。
一般的な日本人の気質として、選択に失敗しやすいいくつかの点があります。
<日本人が選択肢に失敗しやすいパターン>
①失敗する事を恐れて選択できない
②情緒的に判断しようとする
③状況の変化に対応できない
- ①失敗する事を恐れて選択できない
選択できない日本人の多くは、失敗する事を恐れているために他のやり方(物、事)を選ぶことができません。
それは、私たち日本人は、(特に昭和、平成世代には)小さい時から自分なりの考えを作り上げることよりも、(親や教師など周りの大人など)誰かの言う通りにする事を強要されてきて育ってきました。「親の言う通りにしなさい」と言う言葉は、誰でも一度は聞いたことがある言葉だと思います。
そして、勉強にしても<正解を出す事>が大切だと教育され、テストで100点満点を取る事を良しとされてきました。
自分で何かを生み出すよりも、何かの問題に対してテストの回答を探すかのように、どこかにある正解を探すためのプロセスにエネルギーを注いできました。なので、想定外の(問題集にある以外の)問題が発生した時に、他に考え方がある、選択肢があると言うことに意識が向かないのです。
正解探しをしてしまう100点思考の人たちは、正解を求めるあまり失敗する事を恐れてしまい、他の考え方があると気づかず、選択・決断が遅くなってしまいます。
正しい選択をしようとしてしまうことです。
正しい選択をしようとすると変化に対応できず、一度選択したことを、変えることができません。
また、「変えることが悪いこと」としてしまうと、状況の変化に対応した、選択をすることができなくなります。あるいは、想定外の出来事に対応できず、選択・決断のプロセスが遅くなってしまうのです。
正解を手にするまでの過程で努力を強いられたが故に、状況に見合わなくなっても決めたことを大事に抱え、一度決めた事を変えることができません。日本人の中にある【一つのことをとことんやる職人気質】が美徳とされていることもあって、余計に変わること、変える事に抵抗感がある部分もあります。
選択は、それが正しいのかどうかは、行動してみるまではわからない。
ということがほとんどなのです。
- ②情緒的に判断しようとする
日本人の好きな言葉:調和、和を持って尊しとなし、絆、協調性
この言葉は、そのまま日本という社会の中にある共通した考えや認識、思考性を意味します。
これが行き過ぎれば、同調圧力、忖度、という言葉に変わり、状況や合理的な判断ではなく、周りの人を気にしたり、気分や感情を推し測って物事を決めるようになり、本来の目的のためとは違う選択をするようになります。
選択する上で目的を決める、情報を集める、知性と感情、霊感、が必要な要素であると上記で記しました。
ならば、気分や感情を使うことは間違っていないのでは?と言われるかもしれません。
ですが、ここで使っている情緒的というのは、目的や情報の収集を誤らせてしまい、本来の目的や情報を歪めてしまうほどに判断の大部分を占めてしまっているのです。過剰な調和、絆、協調性、気分、感情、は、望む選択にとって邪魔な存在となるのです。
私たちは自分で選択しているようで、ほかの人に影響されてしまうことがあります。
CMで繰り返し見た商品を選んでしまったり、素敵な女性が紹介している商品に好感を持ってそれを選んだりということは、心理的なザイオンス効果、セルフイメージのミラーリング、などのように、冷静に考えれば自分には必要のないモノ、適さないモノを選んでしまうことさえあります。
可能性を広げる選択肢を持つには、そうしたものを超えて、冷静さや合理性、目的や成果、など日本人が苦手とすることへ意識を向ける必要や、
自分自身の五感の感覚を基準にして、自分にとって【快/不快】は何かをもとにして選択肢を広げる必要があります。
それには、
自分にとっての選択肢の基準はなにか
自分がどのような五感の感覚を持っているのか
自分自身を深く理解していることが重要です。
- ③状況の変化に対応できない
人は、何かを選択すると、「それを守り続けなければいけない」と考えがちですが、
理想とすることは何かを決め
選択肢を広げ
選択し行動をする
ということをしていくと、選択の変更を余儀なくされることもあります。
選択肢を増やして選択し、何らかの行動を始めてみると「予想していたこととは違う」「これでは望むようにはならない」と感じることもあります。
その時、選択を変えることが必要になったり、理想とする目的の変更が必要になることもあります。
自分が変わらなくとも、周りの環境でそれらを変えざるを得ないことさえ起きます。
寒い時には、寒さを防ぐために分厚いダウンコートを着ることを決めますが、
春になり暖かくなれば、ダウンコートを着続けていると暑くなりすぎて、体調を損なうことさえあります。
選択肢を広げるということは、
状況の変化に対しても柔軟に、選択と行動を変えていくこと
なのです。
なぜこれほどまでに、選択肢を広げることが難しいのか?
ここまで、選択肢を広げること、選択することについて述べてきました。
そもそも、私たち人は、選択することに対して悩んだり、迷ったりすることのほうが多いのは、選択する上での上記のような基準がはっきりとしていないがためです。
そして一方で、気づかないうちに心理的な部分で影響を受けて、その影響によって選択してしまうことさえあります。
特に、日常生活の中では、行動の90%以上が意識的に決めているのではなく、自動的に決まった習慣によって動いていることがほとんどで、その習慣とは、行動、考え方、感情の出し方、心理状態、など人の活動の大分を意味します。
これは、選択においても同様で、
イェール大学心理学教授ジョン・バーグは、
「日常生活における思考、感情行動の大部分は反射的なもので、意識的な選択や熟慮を一切経由せず、その時々の環境の特性によって動かされる」
と述べているように、人の活動のほとんどが無意識的に、つまりは自動的に引き起こされているのです。
この時活動しているのが、無意識(潜在意識)です。
私たちの意識構造は、海に浮かぶ氷山に例えられます。
表面に表れている意識(顕在意識)は全体のわずか10%程度で、海水の下に沈んでいる部分が大部分90%以上で、潜在意識は、顕在意識の2万倍ものエネルギーをもち、私たちの活動、特に、心理的精神的な活動のほとんどは、気づかないうちに自動的に行われているのです。そう考えれば、精神的な活動の一つである選択肢を広げること、選択することにおいても同様で、だからこそ、意識的に行うことで、よりよい選択の仕方を自分自身に根付かせる必要があるわけです。