行動・仕事

ドラマ『陸王』に見る、自分を変える覚悟とは?

2017年12月27日

イメージは番組サイトからhttp://www.tbs.co.jp/rikuou_tbs/

2017年は、ドラマを良く見ました。
そして取りを飾る『陸王』も終わり、

見終わって今頃気付きましたが、
番組HPを見るとヘッダーのサブタイトルに、

【自分を変える覚悟はあるか?】

とあるのですが、

この【自分を変える覚悟】
ドラマの全体のテーマなんですね。

今回は、この【自分を変える覚悟】について
心理学の観点から探っていきたいと思います。

 

自分を変える覚悟とはどのようなことか?

劇中の登場人物たちが変化した理由

ドラマを見ている方もいらっしゃると思いますが、
ストーリーをざっと話すと、

埼玉県行田にある100年続いた足袋製造業・こはぜ屋は、足袋の需要が落ち込み、そのままの状態では数年後には、廃業の憂き目にあうだろという状態。メインバンクである埼玉中央銀行の行員・坂本から、なにか新規事業をするよう進言され社長の宮沢は、足袋の特性を生かしたマラソンシューズの開発に活路を見出そうと模索します。

その背中を押すキッカケとなったのは、豊橋国際マラソンに出場の実業団マラソンランナーである茂木のレース中の怪我でした。レース中に足の筋肉の不調から倒れ、何度も何度も立ち上がって走ろうとする姿に、怪我をしないためのシューズを作ろうと決意します。

茂木の怪我は、主流となっている底の厚いシューズが足に負担をかけてしまったことも要因の一つで、
損傷した半腱様筋は再起が難しく治ってもクセになりやすいため、マラソンを止めるかこれまでのフォームを変えるかの必要に迫られます。

そして、ずっと茂木を側で見ていた大手シューズメーカー・アトランティスのカリスマシューフィッターの村野氏も打算的なアトランティスのやり方が、自分の信条である、選手自身のその性格を大切にするやり方とそぐわずにアトランティスを辞めて行くことになります。

埼玉中央銀行の銀行員でこはぜ屋の担当だった坂本さんも、こはぜ屋の融資の件で支店長とやりあい、支店の墓場と言われる支店に飛ばされ、銀行が企業を助けられない限界を感じて、ベンチャーキャピタルに転職していきます。

そして、シルクレイを開発して特許をもつ飯山さんも、大手企業に売りつけて(使用料)数千万/年 という利益を得ようとしていたものの実績が無いと相手にされず、熱意に負けた宮沢社長にその製造許可を渡し、顧問としてランニングシューズの開発に関わっていきます。

こうして主要な登場人物は、環境がかわり、状況がかわり、自らも変わらざるを得ない状況に陥って行きますが、最後には彼らだけではなく、登場する殆どの登場人物が、心理面でも行動面でも変わっていくのが見て取れます。(最後まで変わらなかったのは、アトランティスの部長・小原ですが、彼もまた本社から切られ変わらざるを得ない状況になって行くのでしょう。)

以前から、このサイトでは変化についてお伝えしていますが、

世の中がこれだけ変化している時代にあって、ドラマの中だけではなく、周りの状況や環境が変化していくのに伴って、人も変わらざるを得ない流れはあるのです。

だからこそ、リアルに自分たちの現状に投影している人たちの共感をよび、ヒットしたのだと思います。

人生を変えるということに対する間違った思いこみ

人が人生を変えたいと思う時には、
それこそ覚悟をもって、【全てを捨てなければならない】と潜在的に思っている人が多いです。

  • 住んでいる家
  • 家族
  • 仕事
  • 人間関係
  • 持っているモノ
  • お金や財産
  • 信念もプライド

といった、
自分の持っているモノ全てを捨ててこそ、人生を変える事が出来ると間違って思い込んでいます。

だから、人生を変えたいけれど、今持っているモノを捨てられない、変えられない。
と、思い込んでいるのです。

人が人生を変えるというのは、
一大決心ですし、悩みも多いですが、

本当に変わるというのは、
【人生を変える覚悟をする】という時には、
そうした全てを捨てる必要は、全くありません。

覚悟という言葉の本当の意味

覚悟とは

覚悟とは:
デジタル大辞泉によると

1 危険なこと、不利なこと、困難なことを予想して、それを受けとめる心構えをすること。
2 仏語。迷いを脱し、真理を悟ること。
3 きたるべきつらい事態を避けられないものとして、あきらめること。観念すること。
4 覚えること。記憶すること。
5 知ること。存知。

だそうです。

つまり、分かりやすく言うと

覚悟とは、

  • 心構え
  • 迷いを捨てる
  • 大変な事態を理解して受け止める事
  • 覚えること
  • 知る事

ということになります。

・決死の覚悟
・覚悟の上でやる
・覚悟の程を見せる

などのように、

覚悟という言葉は行動が伴う、行動を起こす上での気持ちを表現した言葉になります。

こうした言葉の意味からも

【人生を変える覚悟】というのは、自分の持っているモノを全て捨てるという事ではありません。

人が変化するには段階がある

自分の人生を変える、自分の何かを変えるという時は、

これまでのやり方、これまでのものではなく、
新しいやり方、新しい物(者)を取り入れて行く時です。

新しい事をするのですから、全くの未体験の事がほとんどのはずです。

それは、
初めて自転車の乗り方を覚える時と同じ事で、

①最初のうちは、乗り方を知らないけれど
②人の乗り方を見て乗り方を知り、ペダルのこぎ方やバランスの取り方を覚え、
③意識して何度も乗り方を思い出して上手く行かず、気持ちの面でもモヤモヤとしたり、失敗して、転んだりしながら、
④全神経を集中して何度も練習して行くうちに上手く行く感覚を掴んだり、
⑤楽に自転車に乗れるようになり、自由に体の動かし方を意識せずとも乗れるようになる。

という段階があります。

なにかを変える時には、
最初は上手く行かない事があって当たり前ですが、

人は、自分を変えたいと思う時ほど、
一気に、すぐに、練習もせずに、
「自転車にうまく乗れるようになりたい」という願望を抱きがちです。

言い方を変えれば、
生まれたばかりの赤ちゃんに、歩いて欲しい、言葉をしゃべって欲しい
と言っているようなものです。

人が変わるには、段階があるのです。
その段階を一段一段上っていく過程こそが、【変わる】ことですし、
上っていく一段ごとに、【覚悟】がより強くなるのです。

自分の【強み】は変えないでいい

こはぜ屋の宮沢社長も、フォリックスからの買収によって資金を得ようとしましたが、それはこはぜ屋の【のれん】を自ら手放す事になり、さんざ迷っているうちに買収ではなく業務提携への道を模索するようになります。けれど、最終的にはフェリックスから5年の期限で3億円の融資を受けることに成功します。

マラソンランナーの茂木も、会社からは引退して通常業務に専念するよう言われるも、
陸王との出会いでフォームを改善するきっかけを掴み、フルマラソンへの復帰戦で、箱根駅伝の経験を生かした走りで優勝を飾ります。

自分が変わるという時、変わらなければならないという時、

  • 自分が大切にしているもの
  • 自分が信じるもの
  • 自分のもっている強み、良さ

というものまで変える必要はないのです。

それらは、
あなた自身を表す、アイデンティティとも繋がるものです。

自分自身を捨ててしまえば、どんなに変化したとしても
それはいい変化とは言えず、もとの自分という存在が無いモノになってしまうのです。

こはぜ屋の大切にしているもの、それは、のれんであり、家族のような従業員であり、彼らの持つ技術でした、フェリックスに買収されて(変化して)しまえば、失われてしまう可能性もありました。

茂木が復帰レースでアトランティスのR2を履かずに、陸王を履いたのも、「自分が信じるものを、信じる人たちを信じたいからだ。もし陸王を履かなければ、自分が故障したときに都合良く離れていった連中と同じになる」という、信じるものを大切にしたからでした。

それによって、心の中に信念が生まれ、
茂木の持っていた箱根駅伝を制した本来の走りに繋がり、優勝を勝ち取れたのです。

人は心の状態が整うと、自分に軸が出来、行動や体の状態まで変わります。

だからこそ、変わろうというときに【心の状態】をないがしろにしては行けませんし、
【心の状態】を無視しては、いい結果には結びつかないのです。

人が変わる時に必要な作業

自分を変える時に必要な作業は、

思考の整理をして

  • 【滞っている事/問題となっている事】をはっきりとさせる事です。
  • 【何を捨てるのか/何を取り入れるのか】をはっきりとさせる事です。

そして実際に、

  • 行動して
  • 捨てるものを捨て、
  • 取り入れるものを取り入れていく事です。

もし捨ててしまって、後から必要になったとしても本当に必要なものであれば、又、何かしらの形を変えて戻ってくるはずです。

変化する段階を踏んで、その段階ごとに自分の心の状態、感情の状態と向き合う事です。

迷うここともアリです。
悩むここともアリです。
不安に思うこともアリです。

そして、

  • 楽しいと感じる事
  • 充実感を感じる事
  • 達成感を感じる事

も同時に感じてください

人が行動を起こす時には、2つの思考パターンを持っています。

避けたい、逃げたい  という 問題回避
得たい、達成したい、 という 目的思考

です。

それは状態や状況によって変わります。
誰にでも、この2つのパターンはあります。

思考の整理をすることで、それらが明確になり、
気付く事で、不安や迷いが解消されていくのです。

迷いや不安があるのは、当たり前の事で、それは真剣に物事に向き合っているからこそです。

まとめ/自分を変える覚悟とは:2023年10月26日修正

ここまでみてきた通り、自分を変える覚悟とは、今持っている物全てを捨ててしまうことではありません。それを捨てて新しいことをゼロから始めることでもありません。

環境や状況の変化に応じて、それまでの経験や知識の中で使えるものを使い、そぐわなくなった知識ややり方を変えていくことです。

迷いながらもつまづきながらも【変わろう】【変わらなきゃ】という想いをもち、「どうしようか?」と考えて、考えて、考えながら行動するうちに考えがまとまったり、「そうしよう!」いう小さな決意を積み重ねそのプロセスを一つづつこなしていくうちに覚悟は生まれます。

最初から強い覚悟が必要なわけではないのです。

<自分を変える上で必要なポイント>

  • 人が変わる時には環境や状況の変化があり、変わらざるを得ない状況=必要性があること
  • その環境や状況のなかでどうしたいのかをはっきりさせること=願望、望み、理想の明確化をすること
  • 【変える】ということに対する間違った思いこみを持っていないかに気付く事=思考の整理
  • 自分の大切なもの、強み、信条は変えてはいけない=価値観をしっかり認識する
  • 人は一気に目的を得たいと思うが、変化するには段階があることを知ること=プロセスの明確化

というように思考の整理をする必要があります。何もないところから、変化も覚悟は生まれません。これらはアメリカ発祥の心理学で、企業のトップや政治家、セレブの多くが取り入れている、心理学NLPの目標達成のプロセスでもあります。

 

『挑戦しなけりゃ、負けもなければ、勝ちも無い
何一つ成長せずにただ生きていても意味はない』

宮沢社長は、フェリックスからの融資を決める時に従業員の前でこう言うのですが
人は結局、寝て起きて、ご飯を食べているだけでは、幸せとは言えないのです。

追記/変わらないことが安定だった時代は終った

ほんの20年位前までは、殊に日本では社会でも終身雇用が当たり前で、変わらないことが当たり前で、変わらない事は安定と捉えられていました。

例えば、人との挨拶でも

「お変わりないですか?」という枕詞がいわれるように、変わらない事が美徳のような社会でした。

しかし今では変化する事が求められ、2018年は変化の年とも言われています。

本来、人も、自然も、物も、ずっとそのままでいられる事はほとんどなく、生き方や考え方、状況、状態を修正して行く必要性は誰にでも起こりうる事です。

神様の世界でさえ、
伊勢神宮は20年に一度、
出雲大社は60年に一度、
本殿とその周辺を、新たに作り替えて新しいエネルギーを呼び込む
神事が行なわれています。

私たちも、変わる事が求められていますが、
なにをどう変えたらいいのか?、
自分がどうしたいのか?

そうした時は、個人の方でもコーチングを活用していただきたいです。

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